■Yuki von Murata 氏からのイランレポート その3

<<イラン・アラビア湾岸諸国視察と戦争3-1〜2

3イラン・イスラム共和国

3.1.イラン政府及びイラン外務省のイスラエルのイラン攻撃分析

ある時、イラン外務省や大使館職員と長年交流している某人物とテヘランを車で移動しながら話す機会があった。重要な問題であるイスラエルの攻撃について直球の質問では警戒されて語らないことは判っていたので、1時間以上に渡る雑談から、イラン政府やイラン外務省はどのように捉えているのか質問をした結果の回答を得た。 詳細は4章参照 

私にはこの重要な情報を得ただけで十分目的を果たしたことに等しかった。後はイランの要所を視察することに決めた。

3-2中東地域を理解する上で基準となる座標軸を置く一つの方法

ここで中東を理解する基準となるものさしの一つを提示する。
人間を魂(霊)、精神、肉体(身体)の3要素に分けられるように、地球上の人類が営む地域をこの3要素に当てはまると、中東は魂あるいは霊的な事、東洋(アジア)は精神的な事、西洋(ヨーロッパ、アメリカ)は身体あるいは物理(科学)的な事、理論となる。
もちろん、人それぞれが十人十色であるように、それぞれ様々な組み合わせの3要素は持っているが、どの要素が主にあらわれているかという意味で述べていることをご理解頂きたい。またこれだけが絶対的な基準、あるいは唯一な基準ではない。

中東地域が霊的な事に対応するとした説明を述べる。例えば、イスラムのモスクなどは一部の国を代表するグランドモスクを除き、通常のモスクは外見をあまり飾っていない、内部を飾っている。同様に、イスラム世界の住民の住居も質素あるいはみすぼらしい外見であっても内側の装飾などの美に力を入れて表現する。イスラム絵画では内面の表現を重んじる。あるいは、彼等の衣装も外では質素な服を羽織るが、家庭では派手な衣装であったりする。このように、この外見に力を入れる必要あるいは意識する必要性もない。これは魂同様に内なる美を表現している事と共通する。このように霊的なる世界観を彼等は重んじていると理解すれば、ある程度彼らを理解する上で役に立つ基準となる。また、植民地時代の欧米のように中東を文明の遅れた世界とみると彼らを見誤る結果を生む。

対して、フランス人が肉体美の追求から来るエステ、化粧、ファッションや食事の喜びの追及、芸術への追求、ヨーロッパの装飾美のある建築物、あるいはアメリカ合衆国などはあまりにも極端な国だが、マッチョな肉体、死体の冷凍保存と再生、ペットのクローン、馬力のある無骨な車、家電製品、質より物量などは肉体、パワー、物質、科学、理論などに重きを置いていると言っても良いだろう。

このような視点からに見れば、判り易く単純化して例えると、一般的にマッチョな者(アメリカ)と.霊的な事柄に関心がある者(イスラム)という価値観の異なるもの同士がお互いに理解するとなればかなりの努力が必要となることはお判りになるだろう。理解を望むなら違いでなく、共通点を探さなければならない。

アジアではやはり古来より精神に重点が置かれていた事は、星一徹に代表される卓袱台ひっくり返してど根性と怒りを込めて相手に訴えたり(日本の男は怒るとすぐ卓袱台をひっくり返すのかと海外ではいまも誤解している者もいる。)男の癖して、カッコをつけやがってなどの言葉があるように説明しなくてもようだろう。あるいは日本のアニメ・漫画のヒーローが精神的な挫折から立ち上がり強くなるストリーが多いのもうなずけられる。他方、アメリカのヒーローはパワーが主力で敗北しても、ガッツ、パワー、ヴァージョンアップか作戦の変更に置かれるストリーが多い。(最近はバットマン・ダークーナイトとライジングのようなヒーローが精神の弱さ{アジア・チベットエリア}を克服し同時に魂が悟ること{奈落から脱出した外界は中東・南アジア地域の風景}ではによって苦難を乗り越えて敵に立ち向かうのもあるが)その他に補足参照

補足:ハリウッド映画は主にユダヤ系の影響力は強い。これはハリウッドの常識である。全てのハリウッド系の映画ではないが、ユダヤ人がユダヤ人に送るメッセージ的な典型的な映画は数多くある。例えばダサい主人公が強敵に追われ血塗れになりながらボロボロになって最後には勝つという映画がよくあるが、これはユダヤ人(ダサい主人公)がナチス(強敵)によって迫害された歴史的体験を映画で別の物語にリメイクし仲間のユダヤ人達に送っているメッセージでもある。どんな状況になってもいつかは我々が勝利を収めるぞというメッセージでもある。このようなある種のメッセージを判るものには判ればよいといった映画も中にはある。同様にX-FILEやプロメテウスもある種の共通したメッセージがある。

中国の場合は、毛沢東共産党によって、中国の古来からの失ってはならない東洋のよき精神性までも破壊された結果、足を引っ張り合う競争、偽物、環境汚染、道端に放棄されたまま遺体、車に轢かれても誰も助けない、あるいは助けたものを告訴する世界、幼児誘拐、農村の嫁にさせるための女性誘拐、犯罪の増加、賄賂、汚職、腐敗、エゴ、自己本位などが蔓延る精神の荒れた状態となっている。そこに物質的に満たしたいという欲求が加わる。残念ながら人心が荒廃し混沌とした状態となっている。同時に対外的には富国強兵を信じる彼等は東洋と西洋の融合でなく対立といった方向に向かっている。

このような世界各地域の特性を持ちながらも、近代から現代までそれぞれの地域は急激に交流を深める事になり、各地域がお互いに影響しあっている。アジアでは、肉体の美(例:日本女性の体型が大きく変化)、ファッション、男の化粧、科学、競争原理などに関心を持つように影響を受けている。他方、欧米ではアジアの精神的な事柄に関心を抱かさせる影響を受けるようになっている。イスラム世界でも欧米的な価値観が浸透しつつある。逆にアメリカの黒人階級にイスラムが影響を大きな与えることもある。このような基準を用いた視点で見ると中東地域でのユダヤ及びイスラム世界をより広く理解するのに役立つ。これは同時に外交、軍事、インテリジャンスや企業活動などに役立つ事である。

このような基準をご理解していただいた上で、次章・3-3英米アングロサクソン系の情報操作(中東地域における)について述べる。>>