■ドイツの脱原発と日本(8)

■皆飛びついた核平和利用
■平和利用の原発でさえも危険なワナあり
■世界は日本必ず福島事故クリアすると信じてた
■見ていてよ、ドイツ人の七転び八起き根性

さてその原子力平和利用ですが戦後、どのような動きがあったのでしょうか。
以下の年表をご覧に入れますと、

■皆飛びついた核平和利用
1951年 - アメリカで世界初の原子力発電を実施
次のその3年後
1954年 - ソビエト連邦のオブニンスク原子力発電所発電開始
1956年 - 初の商用原子力発電所、イギリスのコルダーホール発電所運転開始
1957年 - ドイツもガーシング(ミュンヘン郊外)にて発電所運転開始
一方日本では
1955年ー 原子力基本法成立後
1963年 - 日本初の原子力発電実施。
1966年 - 日本初の原子力発電所、東海発電所完成

原子力「平和」利用ですから、ドイツもそうですが日本も大手を振ってこの開発に手掛けています。
70年初めのオイル危機はその機運にいっそう拍車を掛けました。

ところが
そこにもワナがありました。
1979年 - スリーマイル島原子力発電所事故発生
1986年 - チェルノブイリ原子力発電所事故発生
で、原発が必ずしも絶対安全ではないこと、
そういう点では、ハーンを初めドイツの物理や化学の賢人達の杞憂は実は核悪用だけにとどまらなかったといっていいでしょう。
あのハーンたちの「警告=マニフエスト」とは、ひつは核兵器のみならず、たとえ「核」の平和利用といえど、安全ではない、それゆえにあの彼らからな警告とは、「核」全体に対する警告であって、つまるところ、われわれ人類に対する警告という名の「遺言」ではなかったか。


■平和利用の原発でさえも危険なワナあり
平和利用とはいえ、原発も絶対安全とはいえない。
年間の自動車事故死者数統計とも違う。

原発事故による被害は、一時的な事故と異なり、そ原発ゴミでも明確な答えが出ているように、被害はほぼ半永久的と言われているからです。
そのことに気がついたドイツの国民、
この頃からです。
ドイツでは平和利用の原発でさえも危険であるとして警戒するようになりました

ドイツの場合、
1.核開発の大本はドイツにあり、それだけに核の持つ恐怖を核物理学者は熟知している。
2.その延長線上で1979年から80年代に
掛けて環境政策を柱にドイツでは「緑の党」が政治活動に携わり常に「脱原発」を主張してきた。
3.1998年、シュレーダー首相を中心とし社民党+緑の党による
連立内閣で「緑の党」が初の内閣入りを果たすや脱原発を標榜し、
新規の原子力発電所建設+操許可を禁止、
既存の原発発電所の漸次運転停止を決めたいきさつがある。
4.ところが保守のメルケル政権に交代するや、昨年シュレーダー政権における「原発17基を20年ごろまでに全面閉鎖する」脱原発政策を軌道修正し、稼働年数を平均12年延長すると決定した。

そこへ
2011年 - 東北地方太平洋沖地震。大津波による福島第一原子力発電所事故ニュースが飛び込んできた。

さあ困った!どうしたものか!

5.今年ドイツでは6州の州選挙が行なわれる。
野党社民党+緑の党はこの福島原発事故をここぞとばかり選挙ネタにし、メルケル政権を責めたて、政権交代の利用しようと画策しはじめた。
6..そこで、メルケル政権は「日本のような地震大国と比較するな」とのスローガンを掲げると同時に即メルケルは12日午後6時官邸に外相、環境相、内務相をを招集し緊急会合を開き、国内原発の安全点検を指示し、国民をなだめようと懸命になっていた。

■世界は日本必ず福島事故クリアすると信じてた
メルケル首相などその側近達は、「日本はきっと早期に=11〜12日、遅くとも13日までに=この事故、完璧に処理すると信じている面があったからです。
またそうであって欲しいと思っていました。

ところがどうでしょう。その淡い期待は見事に外れてしまいました。その後の日本の原発対応の拙劣さは目も当てられないもので、これを知ったドイツ国民の「脱原発」の声は日増しにまり、採取的に政府自ら「脱原発」の看板をかけざるを得ない状況に追い込まれてしまったのです。

このドイツの「脱原発」処断に関しては、賛否両論あり、、いずれも傾聴すべきものがあります。
多くは一度手にした「原発」エネルギー、口では何でも言える。ドイツの「脱原発」も似たようなもので、いずれほとぼりが冷め、福島原発事故が人々の記憶から遠のいたらドイツも時期を見計らって再度、「原発」エネルギーへ戻らざるを得ない。でなければドイツはやがて、産業国としての地位を他国に譲らざるをえなくなるだろう、等々、

■見ていろ、ドイツ人の七転び八起き根性
それはそうかもしれない。
けれども、ここまで覚悟を決めたからには、(わたしもそうですが、)ドイツ人の多くは、きっとドイツという国は約束どおり、「脱原発」政策を貫いてみせると信じているように見受けます。
またそのために国民はもちろん世界に向けても「約束したこと」です。
ドイツ国民は歯を食いしばってでもやり遂げて見せる。

なぜならドイツの歴史は2000年前のローマ帝国の時代からその繰り返しの連続で、その都度「壁」に突き当たり、窮地に追いやら手来ました。けれども、いつの間にかドン底から這い上がって見せる、そういう根性、しぶとさ、エネルギーをを備えている民族だからです。
ガン税のドイツのその心境はそうですね。
「今しばらく見ていてください。必ず今回の『脱原発』もクリアしてみせますから」と言うものだと私など思っています。