■ドイツの脱原発と日本(3)

■発端は、まずイギリスから始まった
■アジアは日本を除いて多くは欧米の植民地
■植民地の無いドイツの悲しさとは

さてこのエネルギーを介した熾烈な合戦ですが、今に始まったことではありません。
ではいつごろから始まったのでしょうか。

■発端は、まずイギリスから始まった
ことの発端は、イギリスで始まった18世紀から19世紀にかけて起こった「産業革命」です。
と同時にイギリス、フランスを中心に当時展開された新大陸発見があります。
アメリカ大陸が発見され、欧米人(主として英仏両国)がこの大陸に住みつき始めたのは、17世紀ごろからで、以後これらの国による植民地全盛時代に入っていく事を思うとイギリスの産業革命とは、かの国の植民地における収奪時代と切っても切れない関係があるといっても決していい過ぎではないようです。
この頃からそれまで馬車であった交通手段が蒸気機関や自動車、蒸気汽船に変わり、と同時に手作業だった仕事が機械による工業にとって代わりました。
こうした産業のオートメ化では、石炭やオイルなどエネルギーが必要不可欠になってきます。

やがてエネルギー発掘が盛んになり、アメリカでは20世紀に入ると、テキサスを初め国内に豊富な油田を発見されます。
一例としてドイツ出身のロックへラーなどはそのアメリカ油田をほぼ独占し石油王としてその名を世界に知らしめるようになった人物です。

ところがまもなく、国内の油田だけではアメリカの産業を賄いきれなくなることに気が付きます、
これはイギリスやフランスでも同様です。
彼らは16世紀に始まった新大陸や島探しという冒険を行い、その波にうまく乗るだけでなく、探し当てたそれら大陸や島を植民地発展させてきました。
イギリスの産業革命とはその延長線上にあっての産業革命だったのです。

手動から自動(=オートメ化)に切り換えられたこのイギリスの産業革命はやがて、欧州大陸のフランスやドイツにも引き継がれ、ここでもオートメ化の時代に入ったことで、エネルギーが必要になってきました。
19世紀の終わりごろから始まった独仏の関係亜kkはこの両国の国境近くの豊富な石炭資源の取り合いが原因でした。

■アジアは日本を除いて多くは欧米の植民地
一方当時のアジアに目を向けるとどのような状況にあったか?
日本を除いては東南アジアは、ほぼ
英=インド、仏=インドシナ、和=インドネシアなどによって植民地下におかれていました。
中国などはイギリスに仕掛けられ、国内をアヘン荷汚染され、ゆくゆくはイギリスの植民地にされかねない状況にありました。
そんななかで唯一日本は、危機一髪のところ、西洋に追いつけ、追い越せと息せき切って、超スピードで近代化を図りました。
そして、二十世紀という幕が切って落とされるや、西洋列強国家への道を手探りしつつ、近代化という何より取り入れ、何と20世紀後半には先進産業国家の一員として彼らと堂々と肩を並べるまでに至りました。
何よりも日本においては日清と日ロ戦争で勝利を得たことが決め手となりました。
彼ら先進産業国としても、日本を大国としてみなし、仲間に入れざるを得なくなったからです。

では一方ドイツの当時の事情はどうだったのでしょうか。
ドイツは英仏のような植民地大国ではありませんでした。
その代わりイギリスによる産業革命を彼ら以上にうまく取り入れ、改善し、新しい発明発見に取り組み産業工業国として名を成し、大国の仲間入りを果たしました。
ここまではイギリスもドイツに対し、黙って見てみぬふりをしながら様子をみていたのです。
ところが、それもつかの間のことで、いつの間にかあれよあれよというまもなく、植民地大国=産業大国としてその名を世界に知らしめているイギリスを凌駕する勢いをつけてきました。そればかりではありません。何とイギリスの領域にまで割り込んで、その力を拡大しようと計りはじめたのです。
これがイギリスの勘に触ってしまいました。

■植民地の無いドイツの悲しさとは
一方植民地の無いドイツはドイツはこの時点で壁に突き当たってしまいました。何しろ工業化産業化でイギリスを脅威においやるまで力をつけたものの、エネルギー面では植民地先進国に既に線引きされ、獲得困難な事態にあったkらです。

となるとそのドイツの運命は、
そして日本の運命はいかなるものになるか。
こては明確です。
必然的に先輩植民地国家とぶつかるしかなかったのです。

この辺のドイツに関する詳しい背景は
『大計なき国家・日本の末路 
日本とドイツ、それぞれの戦後を分けたもの』クライン孝子著
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1章 戦後ドイツの「国家百年の計」
――大欧州連合の構想は、どこから生まれたか
記述いたしましたので是非参考にしてください)

そういう観点で20世紀を振り返って見ますと
世界は、来る超産業工業化に備え、熾烈なエネルギー獲得競争を展開した世紀だったことが判ります。結果、起こってしまったのが、
ドイツでは第一次世界大戦であり
第二次世界大戦だったと見ていいでしょう。
さしあたり、日本では
第二次世界大戦と
今回の福島原発事故がそれに相当すると言っていいのではないでしょうか。