■YUKI von MURATA氏からの「イランレポート その4」

■YUKI von MURATA氏からの「イランレポート その4」

イラン・アラビア半島湾岸諸国視察と戦争-その4

3-3英米アングロサクソン系の偏向報道(情報操作)とその情報に
情報操作されていることを自覚できない大衆 

注1:本章を念頭入れていただき後章の3-4を読んでいただければ
より理解の助けとなるはず。注2:正しい報道もあるが、同時に情報操作、
世論操作を意図した報道もあると言う事だ。
注3:反アメリカを説いているのではない。アメリカとの同盟は必要である。
が、同盟相手がどのような相手か理解しているのと、相手の本心の意図
などを知らずに同盟相手として付き合うのとは180度異なる。

アメリカのFOXニュースなどの例を挙げれば、即お判りになる方
もいらっしゃるだろう。

著者は中道右だと自覚している。ドイツ連邦共和国ならば場合によって
右に傾く事もある。もしアメリカ合衆国市民であれば、おそらく共和党寄り
になるだろうが、
その著者が客観的に見ても、FOXは右派と言うより、
過激な右派いや・・・右派からみても、恥ずかしいぐらい、
右派と名乗るなと言いたくなるぐらい、バカ右翼通り越したバカ右翼と
言いたくなるぐらい支離滅裂な偏向報道が多い。理性的というより、
感情的でもある。かつ意見が異なれば、人格批判、精神異常扱い、
非国民扱いをしばしば行なう。極端は罪でもある。私の友人達も同様な意見である。

例えば、11.SEP(米式9.11)のテロによる遺族のティーンエイジャーの
アメリカ少年がFOXのインタヴーに出演した。インタヴュアーの
司会者の社やり取りで、少年はアフガニスタン侵攻について、
全てのアフガニスタン人が悪いわけでない、ウサマ・ビン・ラビンなどの
テロリストに問題があり、彼らが出現した背景、環境などに問題がある。
そのテロリストをアメリカ政府は以前支援していたではないかと・・・
テロリストとアフガニスタン人を一緒にしていないという正論を述べた。
著者にはよく勉強している少年だという印象を受けた。
だが、司会者はホロスコープ上では感情、臆病、母性的をあらわす
蟹座を表すアメリカ合衆国の典型的な住民らしく感情をむき出し激怒した。
君は家族が9.11で亡くなったのに!君は亡くなった家族に申し訳ないのか?
(少年は感情的にならないで理性的に反論する)君の精神は異常だ。
もう帰れ!と大の大人が大声で見苦しく何度も怒鳴った。まあFOXは
こんな低レベルのやり取りが非常に多い。それには、FOXの有名な
メディア王のオーナーの意向に従わないという社風もある。

FOXの例は極端だが、イラク戦争報道については、
ドイツ連邦共和国のZDF、ドイチェ・ヴェレー、大英帝国のBBC、
バーレンのアルジャジィーラ、ロシアの放送などの報道を見れば
(注:これらが公正で偏向報道ではないという意味ではない。
報道の視点が異なるのでこれらを見れば、全体のバランスが取れる)、
当時のアメリカ合衆国のCNN、ABC、CBS、FOXなどのの報道は
一方向に偏向(俺達!正義のアメリカンヒーロー!)しておりバランスが
欠けている事がよく見えるのだが、海外放送を見ることができない
アメリカ国民の多くは洗脳されていた。この事はアメリカ合衆国を
外から眺めていると良くわかることであり、アメリカ国内にいると
判りにくいことでもある。

さて、ここでアメリカ合衆国からの報道一辺倒に頼る日本人国民にも、
アメリカ政府あるいはアメリカの報道機関の報道だけが事実のように
見えていた。同時に情報操作されているという自覚ができない状況に
置かれている。

今ではブッシュの石油のための戦争と判ってことだが、
当時のドイツ人多くは既にその事実を見抜き、イラク戦争を反対していた。
この背景を日本メディアは詳細に伝えることはできていなかった。
当初アメリカ国内では戦争反対と声をあげたティーンエイジャーの
少女は非国民扱いされていた。
戦争が長引くと、やがてアメリカ人にも断片的に事実が伝わると、
非国民と言ってた者達が戦争反対と傾いていった。代々軍人の家族が自慢でも
あり戦場に息子を送ったアメリカ人の母親は、戦争賛成とメディアで得意げな
顔でインタヴューに答えていた。息子はターミーネーターのように
不死身だとでも信じていただろう。だが、息子の戦死を告知された後は、
戦争反対と涙を流し悲壮に暮れた顔で再度TVに出演していた。
非常に気の毒に感じたが、そのような状況になって、はじめて現実に
気がついたようだ。

このような例だけでなく、日頃から気がつかないように情報操作される
ことはよくあることだ。-
-
もう一つ重要な要因を述べる。かつて戦前から戦後まで日本にいた
上智大学の某ドイツ人神父は、ナチス・ドイツのアーリア人種優越説などは、
歴史的にはヨーロッパで後進国でもあったドイツ人に、急に台頭した
ナチスの独裁体制によるイデオロギーを与えられた。それは短期間で
与えられた思想でも、一過性でもある。ドイツ人で本気で信じている者
は少なかった。体制が崩壊すれば、そのような思想は崩れ去る。
むしろイギリスやアメリカ人の植民地時代から、民主主義の中で時間を
ゆっくりかけて、アラブ人や黒人、アジア人などの他の民族より優越だと
思い込んでいるほうが害でもあり危険だと著している。

例:60年代の米国の黒人差別、今日でもアメリカほど人種、宗教、
階級の差別意識の強い国はない。故に強い差別禁止法による法制で
押さえている。オーストラリアの白豪主義と65年代まで続いた
アボリジニの児童隔離による白人化計画=書籍化または映画化された。
ナチスのアーリア人化計画=レベンスボルン計画と同じ。
ただし、今日のオーストラリアはこれらの意識を変えている。
90年代まで続いた南アフリカのアパルトへートなど。
だから、彼ら英米豪などはナチス批判の資格はない!

時間をかけて、知らず知らずに思い込む事、信じ込む事はよくある。
(日本人にとっては
原発事故前までの信じていた原発安全神話を例に挙げればお判り
であろう。事故後も、しばらくは国やメディアの説明を国民は信じていた。
それが信用できないと国民が理解できるまではさらに半年から一年の
年月が必要だったということだ。)したがって、イランを見る場合も、
このような思い込みに注意して、多面的に見なければならない。

以上の2点はインテリジェンスに必要なことである。

さらにイスラム教徒を理解するための視点について述べる。

ブッシュ政権はイスラム・テロリストを悪のして対立を
宣言していた。それは、世界のイスラム教徒との戦いのようにも
誤解を与える時があった。

イスラム教は日本人にも、ドイツ人にも馴染みがない。
80年代のドイツ・フランクフルトの広場で突然、イスラム教徒の女性が
地面に触れ、アラーの神を祈りだしたのを見たが、やはり私だけでなく
他のドイツ人世界から見ても奇妙に写っていた。戦後しばらく
ヨーロッパ女性も頭にスカーフを巻いていたが、トルコ系などの
イスラム女性がヨーロッパに増え、ヨーロッパ女性達は彼らイスラム教徒
と間違えられるのを嫌い、70年代にはヨーロッパ女性の頭からスカーフは
消えた。イスラムに対する偏見はヨーロッパにも存在する。

トルコは地理的にはヨーロッパという僅かな領土があるが、
ヨーロッパの本音ではキリスト教でなくかつアジアでもあるトルコの
EU加盟を承認したくない本音もある。皮肉な事に、今日の経済が好調な
トルコはEU危機を見て、(現在もEU加盟申請しているが、)
承認されてなくて逆に良かったという意見もある。

さて、イスラムは厳格な戒律とウドゥー(礼拝の顔、耳、手や足を洗う事。
日本人に判るように置き換えれば、ウドゥーは神社で口を注ぎ手を洗う
清めが顔や足まで広がったと言えば理解できる。それを一日5回行なう)
サラー(礼拝作法。日本人には神社で正式に祈る作法と同じだと思えだ
理解できるだろう。)と断食という事を除けば、その宗教が説いている
普遍的な本質的な事は、ユダヤ教、キリスト教、仏教、神道などと大差はない。

ただ、イスラム教はその厳格な戒律と祈りが他の宗教よりも
クローズアップされイスラム教徒以外からは特異な印象を与える。
世界は各々の枝葉的な違いで宗教対立している。イスラムの中では
穏健派から過激派まであり、大半のイスラム教徒がテロを認めていないか
憎んでいるというとだ。

(モスクでのアドバイス:汝、聖なる場所だ。
靴を脱げと神は申されるが・・・足元が臭い・・・モスクを訪問すると、
靴を脱ぐため、できるだけ床の絨毯に染みこんだ多くの人の強い
足臭が移り足や靴が強烈に臭くなるので、靴下とソールの予備と取替えは
した方が良い。靴べら持参のこと。イスラム教徒は草履かサンダル
なので彼等にとって足の臭いは問題ないらしい。)

他方、アメリカもイスラムを狂信的とは言える資格はない。
戦後アメリカから大きな影響受けている日本人だが、そのアメリカ人の
宗教性について日本人は認識できているとは言えないだろう。
アメリカに住んだことがある者であればわかる事だが、実はアメリカも
かなり極端に宗教的でもあり宗派に寄っては狂信的な活動もかなり多い。
自分たちの信仰を揺るがす近代文明の一部を拒否するアーミッシュ、
欧州ではあまりない過激なショーのようなテレビ宣教師、子供に罪の意識を
与え、泣くまで懺悔や祈りをさせる教会、聖書の文言一字一句がすべて
正しい主張する原理主義、あるいは進化論は正しくなく、
聖書のアダムとイブの誕生が事実であり、進化論を教育現場では
教えるなとする地区もある。これらを挙げるだけでもお判りになるだろう。

したがって、このような彼らアメリカ人が発信するイスラム情報を見る場合は、
彼らのフイルターに留意して、情報を見なければならない。

コーヒーブレイク:キリスト教に正確な理解がない日本人の中には、
キリスト教式の結婚式に憧れて方もいる。しかしながら、
日本ではでたらめなキリスト教の結婚式は多い。
例えば著者が日本の結婚式にご招待いただいた中には、神父または
牧師がどこどこの教会から派遣されたと自己紹介し式を始める本物の神父、
牧師もいるが、所属も述べないで、恐らく流れ者のような外国人のバイト
を牧師にしたて、キリスト教らしくない、いかにも偽者であり、
大げさなアメリカのTV宣教師ように、あるいは薬物中毒者か
バカのような振る舞う偽牧師もいる。キリスト教について無知な
ご両人が喜んでいるが、私から見れば、奇妙な偽の儀式に写る。
もちろんご両人を心から祝福するが、偽りの式の印象はいいものではない。
下手すると猿真似と揶揄されかねないから、その点は気をつけたほうが良い。

3-4監視、密告社会及びイスラムを除けば欧米や日本となんら変わらない
イラン社会につづく。
YUKI von MURATA>>
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_21世紀を迎えた今世界は混沌としています。日本もその渦て
政治経済ともに、国際的視点に立脚し欧州からの情報収集が不可欠に
なってきています。欧州の国際情勢を日記風にまとめドイツ滞在歴
40余年の経験を生かし、現地よりレポートします。
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