■YUKI von MURATA氏からの福島原発事故レポート2部

◆氏レポート、日を追うごとに面白くなってきた
◆荒い例えだが”日本をドイツ、アメリカをギリシアに置き換えるとなんとなく・・・・
◆韓国企業がなぜ伸びたか分析してみると。
◆ご承知の通りガラパゴス化である。
◆日本のメーカーがインドで失敗した例とは
◆本社の責任部署の者が数字だけを見ただけだろう
◆これをインテリジェンスの例で説明しよう
◆日本が本格的にインドに進出する前に韓国勢が

◆YUKI von MURATA氏からの福島原発事故レポートは日を追うごとに面白くなってきました。
これこそ日本人に欠落している部分で、
とりわけ政治家や財界人、外交官、いやマスコミ人間が読み、分析し、そして反省すべき貴重なレポートです。
特に今回の『2-1-1.韓国企業がなぜ伸びたか』などはそうで、
ここ数年の韓国の世界における目覚しい活躍と勢いの要因ですが、彼ら韓国人には日本人にない強かではあるがきめ細かい国際ビジネスセンスがあることです。

下記のYUKI von MURATA氏の指摘、
<<日本の後退はこのような事例からも眼に見える。だが、このようなことは「日本にいて日本の家電店だけ見ている日本人にはわかりにくいはずである。想像できないことかもしれない。」>>
がまさにそうです。

さても今日の氏の添え書きに「私信」という断り書きがありませんので
最初にその部分を掲載させていただきます。

<<日本は単独で為替介入と日銀は金融緩和をし円安誘導を行っていますね。
紙くずのようなドルを買い支えるなんて。
アメリカの借金の肩代わりか・・・。

今回ではないにしても、中国は狡猾にアメリカ国債をうまく処分するでしょうね。
一方、日本はアメリカ国債は売るに売れない状況。

スイスのようにうまく金融緩和しなければハイパーインフレになりますからね。

だが、根本的な問題はドルにあることから、円高要因が消えた訳ではない。
しばらく80円代でもつかもしれないが、
日本がいつまでも、今回の方法ができるとは限りらないと思います。

◆荒い例えですが、”日本をドイツ、アメリカをギリシアに置き換えるとなんとなく共通していませんか?”
馬鹿馬鹿しいという意味がお判りになっていただけると思います。
ギリシャを支えないとユーロが危ないという状況に。

添付:チェルノブリ原発関連報告2-1-1〜2-1-5をご送付致します。
よろしくお願い申し上げます。
                                 敬具

◆2-1-1.韓国企業がなぜ伸びたか分析してみよう。
例として、かつて戦前から日本の総合商社ニチメン、トーメンが行っていたアジア、アフリカなどの各国を専門(商法、マーケッティング、嗜好、風習、法律など)に担当する社員を育成していた。これは旧通産省(現経済産業省)あるいは他の総合商社からも高く評価されていた。

ところが、バブルがはじけた頃から日本はこの育成を内需拡大と共に急に失いつつあった。一方、かつて韓国メーカーは顧客の要望に「それは日本人のような細かい事だ。」と無視していたが、韓国はウォーン安の金融ショック、IMF介入後、あるいは21世紀頃からサムソン、LGなどは各国の事情(マーケッティング、嗜好、風習、法律など)に精通した社員の育成、各国の要望に沿った製品製造に力を注いできた。 その結果、20世紀では考えられなかった変化があらわれる。アメリカのWEBでSONYよりサムソンのほうが高価、高級品と扱われるような結果を生む。日本の後退はこのような事例からも眼に見える。だが、このようなことは「日本にいて日本の家電店だけ見ている日本人にはわかりにくいはずである。想像できないことかもしれない。」

2-1-2さらに、この問題の一つは携帯電話に見られるように
◆ご承知の通りガラパゴス化である。それは他国に適した需要に対応できない製品になった。高性能であれば売れるとは限らない。が、日本の技術者や営業は高性能、高機能が売れると勘違いしている。それが通用するのは日本や一部の欧米の富裕層向けぐらいである。世界には会話とメールができれば十分という顧客は多い。他の国では、日本製の高機能、高性能が価格だけでなくその機能が無駄(日本人には必要でも海外の国によっては不要ということはある。魅力がないとも言える。いくら日本人が匠の技術だと自負しても不要ということだ。)だという顧客が多い。あるいは欲しくても高額で購入できないという理由もある。その事実を無視した日本のマーケッティングが増えた。その結果、日本のシェアーは低下した。

2-1-3.その失敗例を述べる。以前も数年前に投稿して述べたと思うが、確か記憶が正しければ、
◆日本のメーカーがインドでアルカリ電池の工業の設立と生産を行ったが失敗した。長持ちする高性能なアルカリ電池は売れると見込んだが、当時のインドではそのような高価な製品を購入できるのはごく僅かなカーストに限定されていた。多くのインド人にとって欲しいという欲望があっても、現実には購入できる価格帯ではなかった。故に、彼らの多くは安い従来のマンガン電池で十分だった。このミスマッチは本来、現地の生活習慣、市場などみれば最初から判ったはずである。

◆本社の責任部署の者が、数字だけを見ただけだろう。よくあるJETROなどの海外投資、工場団地視察のような車による短時間で局所的に現地を見るのでなく、多額の資金を投資するならば、足で日本とインドで多面的に、例えば庶民の市場、交通機関、車の質、港、立地、人間など観察し比較していれば、数字から読み取れない事を見つけ出せば、このような投資の成否はわかったはずである。 2-1.著者の前述のミンスク市内での書店、家電、市場などの基本的な観察方法を参照。 全てが数字でわかると主張するなら、男女の人間関係なども最初(出会い)から結末(幸福、分かち合い、死別、破局も)まで判るということかな?ならば、人生はつまらないものだね。

◆2-1-4.これをインテリジェンスの例で説明しよう。
イスラエル・モサッドのエジプトに潜入したスパイだった、ウォルフガング・ロッツはその著書「シャンペン・スパイ」の中でエジプト軍について記載している。以下抜粋。

エジプトには、ソ連製の新品の戦闘機、戦車、装甲車という武器、設備(これがここでいう数字だ。)があっても、エジプト軍には近代戦を戦う能力はない。まして、近代戦に勝つことは論外だ。いくら、最高級なものを持っていても、やり方をわからなければ何も役に立たない(数字に見えない要素)。管理組織も官僚的で機能しない。佐官階級にも決定権がない。エジプト人のものの考え方は、何世紀も何一つ変わっていない。つまり、エジプト人は戦争という大人の遊びを楽しむ子供であり、外国人の専門家や教師がいくら歯噛みしてもこの状況は変わらなかった。やがて、アラブ連合は数では劣るイスラエルと戦火を交え大敗北する。1-6-4、1-6-5参照またはフィドバック

2-1-5話を戻そう。もちろん、私が見た1980年代のインドと異なり今日はご承知のように所得も上がり、アルカリ電池も購入できる客層は増えてきている。そして、
◆日本メーカーが本格的にインドに進出する前に韓国勢が勢力をインドで伸ばす触手を広げていた。今日Panasonicが,インドの嗜好、習慣等を研究し、それにあった製品を製造し韓国勢のシェアーを追い越せ追い抜けと力を注いでいる。(例えば、インドの風習では冷蔵庫に鍵をつけるとか)日本の諸君の健闘と成功を祈る。

次回:2-1-6.次のハードルは国際基準について述べる。