■YUKI von MURATA氏からの福島原発事故レポート2部

■YUKI von MURATA氏からの福島原発事故レポート2部
◆2-3-9第二展示場:階段を挟んで隣の部屋ではチェルノブイリ放射の被害の展示がある。皮肉な事に日本の財団が贈呈した数台のモニターの一つはチェルノブイリ事故当時の最初の放射能物資が原発から拡散していった表示されていく。最初の放射性物資は濃い雲のように周辺の旧ソ連圏の共和国に拡散降下、やがて南下し時計回りに拡散しながら、さらに西に位置する旧東欧の衛生国家へ降下、やがて北上しソ連及びポーランド占領地域ドイツ領・東プロイセン(クマの諸君!気の毒だが、今度は諸君の領土が失う事になる。ドイツ領として必ず取り戻す!)に移動し、やがてバルト海を越え1100km離れたスウェーデンまで広がる。
◆ここで初めて西側でスウェ−デンの原子力発電所がソ連内部で核に関する異常事態が発生しているのではと世界に伝える。当時私はこのスウェーデンからの情報を聞いていた。やがて、ソ連は翌日この原発事故を認め公表した。アメリカ合衆国政府は軍事情報衛星で確認する。

◆2-3-10第二波の汚染は、5月3日以降は西ヨーロッパまで広がりドーバー海峡を越えて行く。さらにグリーンランドを越え、カナダ・ハドソン湾へ。東はシベリアを越え。日本に向かっていた。当時、西ヨーロッパではオーストリア共和国が一番汚染された。同国では特にリンス周辺の汚染が酷かった。北欧ではスウェーデン、ラップランドが酷く汚染された。当時のヨーロッパの報道は、今日の福島の放射性物質汚染に関する報道以上だった。
日本でも当時報道されてはいたが、対岸の火事のような報道であった。

◆2-3-11福島原発でドイツ人・フランス人などのいち早く避難する反応は理解できるだろう。事故後3ヶ月もたった時点で日本人も判るはず。またドイツ連邦共和国、スイス、イタリアの原発廃止を決定したのは、緑の党(著者は不支持)の運動の影響だけではないことも理解できるはず。

◆2-3-12汚染された土壌では、キノコ、ベリー類はセシウムを土壌から吸収することから汚染がひどい。その他に、小麦が汚染された。(土壌除去などの対処を怠ると、小麦に近い米は同じようにセシウム汚染が広がる可能性はある。)これらの汚染された食品は自国、ヨーロッパ内では販売禁止となり、溢れた食品は焼却等の処理されず、放射性物質汚染食品規制の緩いヨーロッパ外に合法及び闇のルートで輸出された。

日本国政府・当時の厚生省も消費者からの要望もあり、放射性物質汚染検査及び規制を強化することになり、該当地からの上記、キノコ、ベリー類、チーズ、乳製品、牛肉、鹿肉、トナカイ、ハーブ、小麦などの製品で放射性物質汚染検出された食品は国民の健康に良くないとして輸入禁止となった。

イタリアの小麦粉を原料とするパスタが汚染されて輸入停止になったのは日本では当時としては大きなニュースとなった。

◆パスタの例のように、放射性物質汚染食品がそれヨーロッパ以外の国々に密かに出され処分されているのではないかと、話題になり調査され、そのような事実が明るみになった。当時、東南アジアでは日本以上に汚染に対する規制が厳しい国があり、日本が輸入しているのに、輸入しないのはおかしいとヨーロッパから圧力をかけた東南アジアの国もあった。汚染物質の多くは発展途上国へ流れた。

◆2-3-13読者は、なぜ?今日の日本の食品生産物が海外で売れない理由もこのような歴史的経緯から理解できたと思う。いくら、日本国が「基準以下で安全」、あるいは◆◆「風評でなく科学的に」と叫んでも、それは国内向けのポーズにしかならない。立場が変われば、海外の国あるいは消費者と同じ反応をしているはずだ。どのような国家も自国民を犠牲にしてまで、不確かな安全しかない食品を相手国のために輸入することはない。

例えば、日本産で品質が良くても基準値以下の放射性物質がある「不確かな安全しかない」食品(魚とか)と、放射性物質汚染ゼロの韓国あるいは中国産の多少品質が下がっても「確実に」安全な同じ食品(魚とか)を売る場合、飲食業・消費者の立場から見れば、放射性物質汚染ゼロの方を選択する。それが、自然な反応だ。福島原発事故以前ならば、日本産高級食品などが売れたが、いまの海外の顧客はそうではない。

したがって、日本政府、生産者の言う風評に原因があるという見解では、問題の解決が見えない。◆戦争で言えば負け戦の原因がわからない状況で、我々は連勝だ!と宣伝する一方で、国内向けにB29に竹槍で戦おうと叫んでいる程度とさほどかわらない。

◆2-3-14ここで私の個人的な意見を述べる。国内の放射性物質汚染の基準との関係もあるが、海外に向けて、「我が国は、放射性物質汚染に厳重に検査し、放射性物質汚染検出測定不可の食品・飲料しか輸出許可しない。」と宣言し、海外新聞に広告を出す。つまり、放射性物質汚染基準以下の食品・飲料等は一切出さない。当然、輸出できない日本企業の損失は出る。そこは賠償責任を負うTEPCO等に求める。関係省庁と調整し、「倒産したミート・ホープのよう腐敗肉、合成肉などを販売する企業があったように、日本の信頼を落すような許可なく違法な輸出を行った企業には厳重に罰則を執行する。そうしなければ、毒入り中国産食品のように日本の食品業界全体が大きな信頼を失う。」「万が一、放射性物質汚染が見つかった場合は、我が国政府は該当国にその損害の補償を行う。」と宣言する。食品の放射性物質汚染について国際基準以上のハードルを設け、日本の品質を世界にPRする。これぐらいしなければ、世界は信用しない。信頼を築くには、5〜10年ぐらい期間の覚悟はいる。それぐらいの覚悟がいまの日本には必要だ。

◆2-3-15話をウクライナ・チェルノブイリ立ち入り禁止避難地域付近の市町村の市場にかえよう。先に述べたベラルーシ共和国同様にその場で食飲料品の放射性物質検査ができるようにしている。基準値以上は即販売禁止。その結果の基準値以下の数値の安全判断は消費者の選択に任せている。

2-3-16次の展示に戻ろう。被曝した住民のその健康被害などが展示されている。
◆奇形の犬が展示さている。カザフスタンの核実験所に隣接する被爆した住民の先天性異常、口が裂けて生まれた子供、急激な老化で死んだ子供、奇形の赤ん坊、癌を連想させた。

事実、先に述べた、ベラルーシ共和国のミンスク、ゴメルの病院、ここウクライナの病院でも、先天性異常、水頭症、脊髄奇形、心臓の異常、神経障害、奇形をもつ新生児出産や小児癌、ネズミの癌実験のように背中に大きな癌、首部に大きな癌などの症状が発生した。そして、亡くなって行く子供達が増加した。

参照:ドキュメンタリー映画:チェルノブイリ・ハート(セシウム137による心臓障害)
2006年国連総会でも上映。

注意:下記のサイトの映像は、全てドイツ連邦共和国のメディア報道同等に、病気、奇形をもつ新生児の映像はそのまま写される。
◆日本のメディアのようなぼかし等はないため、人によっては精神的な衝撃は大きい。目をそむけたくなるかもしれない。だが、若き命・・・物言えぬ新生児の苦悩と犠牲を知り、その事実から学ぶ事が日本での犠牲を少なくする道でもある。同時に、それがチェルノブイリ事故犠牲者を弔う事にもなる。目を背けたくなるシーンが多いが、事実をしっかり見ていただきたい。場合よっては日本の将来の問題を見る事になるかもしれない。

各々方は政府の対応に対してそれぞれの感情や印象をいだかれるだろう。日本では30年あまり科学(理科)の教科から放射線を教えることがなかった。そして長年情報操作されていたと感じるかもしれない。なぜ、教えなかったかも判るだろう。いい例は浜岡原発の故町長のように「原発事故など起こらないから避難訓練は必要ない。」と発言する裸の王様も出てくる。自分達がこの王様と同じだったかもしれないと気がつくかもしれない。

◆特に、妊娠している女性あるいはこれから子供を生もうとしている女性は是非知っていただきたい。できれば、パートナーと見る事をおすすめする。大切なのは、恐怖に脅える事でなく、どのようにして、国家に頼らず自分の身を守れるかというサバイバル術「汝のDNAを守れ」を身につけることが、ここでの目的である。

◆チェルノブイリ・ハート (Chernobyl Heart)
http://yosinori.tumblr.com/post/8138257146 (個人による同映画の日本語解説)
映画:You Tube:英語版
http://youtu.be/IAmY80t-4D4 
http://youtu.be/x_HxjdJSvHg  
http://youtu.be/DEDQn0v9vcc

◆いまのような日本政府の対処方法ならば、必ず福島の原発による健康被害者は将来にでる可能性が高い。後手になっている日本の対応には苛立ちが募るばかりだった。

次回:2-3-17最後の展示場:闇の魔法使いによって全ての住民が悲しみの中で突然石にされたような場所につづく。
YUKI von MURATA