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◆息子をドイツの徴兵に送って (1)
                       
永冶ベックマン啓子

私は南ドイツ バイエルン州の州都ミュンヘン市
(人口135万人)ドイツで3番目に大きい町に在住で、
現役の通訳・フリーのコラムニスト、
分子整合栄養学アドバイザー等をしています。

パートナーは、グラフィック・デザイナーで会社経営
のドイツ人ですが、
今回私達の1人息子が自らの意志で、自分を教育したいと
兵役義務を選択し9ヶ月間、ドイツで一番厳しいと言われる
山岳隊で兵役を経験しました。
1人息子だからといえ、特別な理由がなければ兵役免除には
ドイツではなりませんでした。

ドイツ連邦の共和国の基本法に従い、満18歳以上の
ドイツ人男子に、現在でも9ヶ月間の兵役義務がある事を、
日本の方で知らない人が案外多いのに気が付きました。
ミュンヘンでの国際児で兵役に行った男子を探しましたが、
良心的兵役拒否で他の施設で奉仕活動をした男子は
いましたが、他には見付かりませんでした。
そういう私でさえ、息子の体験を通して、今更ながら認識や
自らの行動を新たにする事柄が多々ありました。

 息子 茂ベンジャミンは、2007年の7月1日から 
2008年の3月31日まで、義務の兵役9ヶ月間を、
ドイツで第一次、第二次世界大戦を通して優秀な将校を
送り出し一番厳しいと評判の、南ドイツのバードライヘンハル
の山岳隊で行いました。日本の昔の赤紙ならず、
ミュンヘン市は全て再生紙を使う事になっていますから、
グレーの封筒で徴兵の手紙を受け取りました。
ドイツでも、昔は赤い封筒で徴兵の連絡が来たそうです。

その召集された9ヶ月間の間には、1ヶ月休暇が
ありますから、実質8ヶ月間の勤務ですが、大抵の週末は
自宅に戻れました。勤務後は、携帯で話もする事ができ、
息子の経験を聞いたり見たりしましたが、短期間で息子が
急速に変化していくその様子に目を見張るほど驚き、
感じる所が多々ありましてメモをしなら、原稿にまとめました。

さて、兵役義務9ヶ月間の中でも、特に最初の3ヶ月間の
基礎訓練は、「 あれは厳しかったが、特別のいい時期であった、
もう少し長く居てもよかった」 と懐かしそうに1年後に
息子本人が振り返って思い出して言うのですが、
今も私が何も言わなくても、生活態度が自発的に良くなり、
いかに大きな体験であったかを母としても感心して
再認識しています。

わが祖国の、多くの若者にもこの体験は必要ではないかと、
是非体験して欲しいと思いますが、親や普通の教師では
出来なかった、成熟した社会人になる為のドイツの人材育成
の基礎教育を受けた実に真剣で意義ある深い体験でした。

戦後63年経過し、同じ敗戦国のドイツの若者達と
日本の若者達をも考える時、この体験をしたかどうかで、
国の将来まで影響してくる大切な人材育成教育でもある事
に気が付きます。
 
歴史的には、1950年初代連邦首相コンラード・アデナウアー
(CSU)とテオドア・ホイス連邦大統領が、
再軍備の基本構想を準備作成し、1955年NATOに加盟して
過去には決別して全く新しい連邦軍が誕生し、多くの激しい
反対の国際世論があったにもかかわらず、翌年1956年 
ドイツ与野党一致の決断で、“制服をきた国民の学校”
として導入された。

1957年 連邦軍(Bundes wehr )が創立され、
18〜45 歳までの全国民に12ヵ月間の兵役義務が課せられた。
この時から既に51年経過したが、ドイツ人男性は、
初期ほど、ほぼ全員兵役を経験している事になる。
が、時代と共に国内、国際情勢共に変化が起きて、
昨年の時点では 全体の30%位の男子のみが、
兵役義務を果している。それより多くの若者が、
福祉関係で奉仕活動をしている。これもまたなかなか
良い社会体験ができ、更にドイツ福祉を支えている。
1949年から、良心的兵役拒否権が認められていますが、
最近では、兵役に行きたくても、軍が縮小されているので、
行けない様な状況もある。
息子が何を体験したか、聞いた範囲で何回かに渡り
紹介していきます。
「 秘密もあって、全部は話せないからね」 
と最初から、念を押されていたのですが、
なかなか口が硬い所がありまして、
かなり苦労した時もありました。( つづく  )
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_21世紀を迎えた今世界は混沌としています。日本もその渦て
政治経済ともに、国際的視点に立脚し欧州からの情報収集が不可欠に
なってきています。欧州の国際情勢を日記風にまとめドイツ滞在歴
40余年の経験を生かし、現地よりレポートします。
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