■Yuki von Murata氏からのシリア問題分析レポート その2)

4.シリア・アサド政権の反論
これに対してシリア・アサド政権は早速反論を開始した。
シリア・アル・ゾウビ情報大臣、8月24日アメリカ合衆国支援の
テロリストが化学兵器を使用した証拠があると発表。
1.シリア軍はジョバール地区でサウジアラビア、トルコ及びヨーロッパで
製造された化学兵器の原料となる化学物質がある容器が倉庫で発見されている。
これは今回が初めてではない2.問題の事案の化学兵器が発射された
地域は反政府勢力側から発射された、シリア政府は衛星写真、
証言を含む確たる証拠がある。
3.犯行は外国人及び外国人によるテロ・グループが良心の呵責ないまま
犯すことができる。

問題点はシリア・アサド政権が犯行説の場合、シリア政府側が
どのような理由で丸腰の市民、男女、子供を攻撃する理由が不明。
誤認使用なのか?或いは、非シリア人の外国人であるイスラム傭兵
による犯行の可能性もある。

そこで、この時期前にアメリカ合衆国CIA、イスラエルのモサド及
びイスラム傭兵がヨルダン経由で、シリア側に侵入した情報が流れた。

参考オシント情報:フランス・フィガロ紙:要約、
ヨルダン人とイスラエル人(工作機関)によって構成される反政府軍300名
とアメリカ合衆国CIA指揮によるイスラムゲリラ部隊(ASL,FSR)の
第一部隊が8月17日、第二部隊が19日、ヨルダン国境を越境して
シリア・ダマスカスに作戦行動の為に移動。
軍事情報筋は、アメリカ合衆国は直接シリアへ自国軍を望んでない。
イスラム教徒過激派を軍事訓練させて反政府軍として作戦遂行をさせる
目的がある。(注:ここで我々は記憶に留めておく必要がある。
アフガニスタンに侵攻したソ連軍との対決の為にアメリカ合衆国が
イスラム過激派を支援した事を。支援を受けていたイスラムゲリラ、
その名はアルカイダ)オシント情報終わり

補足:ヨルダンには、アメリカ合衆国・CIA支援によるシリア反政府勢力軍
の訓練基地がある。(アメリカ合衆国政府は公表に認めている。
後にオバマ大統領が増強を検討する報道が流れる)補足終わり

反政府側が自分たちのよる化学兵器攻撃だとAPの記者に証言している。

参考オシント情報:8月30日AP通信デイル・ガヴラク記者の
インタヴューにて、サウジアラビアから参加したシリア反政府勢力側が、
サウジアラビア政府・情報長官バルダン王子が反政府側に供給した
兵器であり、それが誤って爆発したものだ。
この兵器はアルカイダ系テロリスト・ジャバト・アル・ヌスラに
引き渡される予定だった。参考オシント情報終わり:(後述:オシント情報:Der Spiegel /BND情報 シリア政府側の容量の誤使用による事故とする
見解の違いを参照)

果たして、真実はどこにあるのだろうか?
どちらかが真実を語り、どちらかが誤認しているか嘘(偽旗作戦遂行の為に)
を言っていることになる。

我々はここで思い出す。
実際は存在しないイラクの大量破壊兵器を存在するとして、
アメリカ合衆国ブッシュ大統領政権率いるアメリカ軍がイラクに
侵攻した戦争を。同時にアルカイダとは関連がないイラクに対して。
その結果、石油の利権は確保できたが、この地域で多くのアメリカ兵
が墓標と姿を変えた。同じ過ちは繰り返したくないというのが
欧米西側の世論だった。
事実欧米の世論は戦争に消極的だとするデータ―が発表された。

従って、欧米が、シリア・アサド政権による化学兵器の使用と
するならば、その証拠を提示し、立証する必要がある。

5.ロシア・プーチン大統領の反撃
その流れで、ロシア・プーチン大統領はシリア・アサド政権の
犯行ではないと否定し、もし、シリア・アサド政権とするならば、
その証拠を出すように欧米側に反論した。かつ、プーチン大統領は、
満面の笑み浮かべ、自信たっぷりと我々は“誰が”実行したか証拠を
持っているとも付け加えた。証拠は我々ロシア側から最初には出さない。
(欧米に小細工されたくない理由から)まず、シリア・アサド政権の犯行
だとする主張する側が証拠を出せと念を押した。・・・
(ラフに表現すると:ガクガクブルブル・・・恐ロシア!!)

これを聞いた欧米各国は、体面上はシリア・アサド政権側と主張しながらも、
内心不安に落ちった・・・(ガクガクブルブル・・・恐ロシア!!)・・・
もしかしたら偽旗作戦が暴露された?或いは我々の誤認なのか?
という事態になった。

6.ドイツ連邦共和国、メルケル首相とBND(ドイツ連邦情報局)
BND(ドイツ連邦情報局)の情報とされる報告:欧州発ソースは不明。
従って、参照程度に。但し、内容が存在しないイラク大量破壊兵器
のケースの場合と同様のBNDの対応なので興味深い。
また、情報の内容が間違っていると否定できるものでもないため。
また、個人的にはこのBND情報部員と見解が全く同じなので取り上げる。

6-1.BNDはシリアの化学兵器の事案で既に真相を掴んでいた。
6-2.アメリカ合衆国とイスラエルはサリン使用実行犯をヒズボラ軍
と断定し、今回を機に、ヒズボラ軍とアルカイダ壊滅を企てている。
(注釈:私は世間で一般に認識されているアルカイダを“本物”
のイスラムのテロリストとする認識には疑問がある)
6-3.さらに、地中海にミサイル巡洋艦の攻撃配備を行っているが、
プーチン・ロシアは妨害しているようだ。
6-4.アメリカ合衆国、フランス共和国の両国は国連決議されて
いないシリアへの覇権行為に対して自国内で承認するにも多くの
時間がかかるだろう。
6-5.今回の西側の化学兵器のプロパガンダは裏目に出るだろう。と指摘し、
世界中から大使を呼び出すことにより、開戦突入を遅らせることが重要である。

7.日欧米各国の国家元首クラスが自国の情報機関から受ける
ブリーフィングの共通事項
ここで、このシリアでの化学兵器使用における事案について、
各国の国家元首クラスが自国の情報機関から受けるブリーフィングの
共通事項の概要について述べる。この後に、それぞれの国益、国情に
沿ったブリーフィング内容を加えて説明する。

実際の欧米各国情報機関と大統領、首相の本件における公式に伝わる決断から、
逆に各国情報機関の見解が読み解ける。

情報機関(外務省、軍の報告もある。ここでは情報機関の立場で説明する)
は国王、女王、大統領或いは首相との以下のブリーフィングを行っている
と判断できる。(情報機関内部でも例外なく機密情報へのアクセスの
権限が限られる。情報機関長官レベルの情報は限られる。
が、それでも各部署からの情報、議会、メディアへのリークから
内部がどのように動いているかは逆読みができる。できなければ情報部員失格)

7-1.シリア・アサド政権の犯行とは断言できない。実証できる証拠がない。
7-2.シリア情勢の背景を説明。(日頃から国王、女王、大統領或いは
首相は自国の情報機関から(主に朝の)ブリーフリングを受けている。
情報機関の活動の中には大統領或いは首相の了承がなければ動けない活動
もある)情報機関はこの中東地域の活動(ヒューミント及びシジント等)
の説明及び反政府側への非公式の支援状況等も含む。
(それぞれの情報機関によって異なる点は、隠された重要なカギである、
サウジアラビア王国及びカタール王国の反政府勢力への支援を説明したかは不明)
7-3.ロシアの動向を説明。重要なのはロシアが西側を牽制或いは不利に
させる情報を確実に保有している。この時点で、この戦争への参加、或いはシリア介入とする作戦は失敗。
軍事介入を遂行する国によっては軍事作戦の見直しが必要となる。
7-4.自国を除く、アメリカ合衆国、女王陛下の連合王国、フランス、
ドイツ連邦共和国等の動向の説明。必要あれば連絡情報将校からの情報交換。
7-5.シリア・アサド政権の犯行でないと戦争後に判明した場合
(偽旗作戦或いは事実の誤認)のリスクの説明(前回のイラク戦争の
ケースの事例を説明)
7-6.この中東地域での戦争になった場合のリスク。
7-7.最終的に国王、女王、大統領或いは首相が決断する。
その国によって必要あれば議会へ問う。

8.ドイツ連邦政府の立場(上記のブリーフィングの共通事項以外に
配慮すべき点)

8-1.シリア・アサド政権の犯行でないと戦争後に判明した場合
(偽旗作戦或いは事実の誤認)、かつて、ポーランド側が発砲した理由
を根拠に侵攻したとするドイツ第三帝国の行為を繰り返すことにもなる。
開戦後或いは戦後にシリア・アサド政権の犯行でないと証明されれば、
ドイツ連邦共和国への非難となって跳ね返る。従ってドイツ連邦共和国の立場は、
明確な証拠がない限り戦争に賛成できないなど。(この説明があったというより、
ドイツ人ならば歴史的教訓から学んでいる・・・
ドイツ連邦共和国としては、これを理由に慎重に扱わなければならないと、
同盟国或いは対外的にも説明できる)

8-2.メルケル首相はBNDとのブリーフィングの結論は、
本件における同盟国アメリカ合衆国の意図と面子を配慮しながら、
大義名分となる証拠がない限り、戦争に反対とする立場を取るべきと判断した。 
メルケル首相は「シリア軍事介入に、ドイツは決して参加することはない。
国連安全理事会決議などが参加の絶対条件である。」と強調。

8-3.後のドイツ連邦議会にて連邦議員への非公開の説明内容も大差がない。
当然ながら、ドイツ連邦共和国の国益を考慮すれば、メルケル首相の
判断を支持する方向となる。

メルケル首相の判断及びBNDの存在はドイツ国民の国益を守ったと言える。

ココアブレイク:ドイツ鉄道・ベルリン中央の近くには
ドイツ連邦共和国政府主要機関がある。その場所からから南下し
、U-Bahn Stadtmittelまで歩く(冷戦時代から鉄のカーテンの向こうの
旧東ベルリン市内はよく早歩きで歩いていた。
もし東欧及びDDR内で尾行する者いたとしても相手がへとへとになるまで・・・。
壁がある時代の方がある意味面白かった。
壁の向こうでちょっと偽旗作戦も。)と壁が撤去された跡のお気に入りの
場所であるFassbender & Rauschのチョコレート(地上階:日本表示1階)
とホットココア(1階:日本表示2階)で楽しまれることをお勧めする。
 ホットココアが飲みたくなる季節が来たのでココアブレイクさせていただく。http://www.fassbender-rausch.de
音楽:YouTube: I like Chopin Techno Remix (HD) ・・・ベルリンに似合う音楽
http://www.youtube.com/watch?v=h7iVp-Y_5qM
YouTube: a-ha The Living Daylights・・・スゥーデンのグループ:
ベルリンの壁があった頃の壁の向こう側の世界にベルリンかウィーンか
ら行く時に似合う曲だった。
http://www.youtube.com/watch?v=h0hFPewOr2M
London Starlight Orchestra The Living Daylight
http://www.youtube.com/watch?v=XTxsEAXI3Ro

9.女王陛下の連合王国、キャメロン首相と女王陛下の秘密情報部
次に女王陛下の秘密情報部SIS、GCHQについて述べる。
キャメロン首相とSIS、GCHQのブリーフリングは基本的にBNDと
メルケル首相と大差はない。但し、大きな違いは、キャメロンの本心は
どうあれ、何者か(戦争を推進させる勢力)に対して立場上は
参戦のポーズを真顔で取らなければならない。
参戦できない場合は、何者か(戦争を推進させる勢力)に対して、
立場上議会の賛同が得られなかったという公の理由必要である。
英国議会の議員にも、オックスブリッジの関係からSIS、GCHQの情報は
非公式に伝わった。その結果、シリア・アサド政権の犯行説と
断定するには証拠能力が低いことが判明した。
また、ロシア・プーチン大統領がどのような証拠を持っているのか
未知であり、下手に動けない。その結果、
8月29日英国議会は首相の意向に反して、反対多数とし軍事介入について
反対する立場となった。

参考オシント情報:Joint Intelligence Organization 29 August 2013
Syria reported chemical weapons use – letter from the Chairman of the Joint Intelligence Committee Cabinet Office, 29 August 2013
下記サイトを開き、上記のレポート画像クリックで
上記の政府刊行物ダウンロード可
Intelligence News and Reports 31 Aug 2013
http://blog.livedoor.jp/intel_news_reports/archives/2013-08-31.html
オシント情報終わり

もう一つの大きな問題は、
女王陛下の連合王国側がロシアから、連合王国政府が反シリア政権に
化学兵器の原料(サリンの原料フッ化ナトリウムとフッ化カリウムなど・・・
インディペンデント紙)を供給していたという重大な証拠を
突きつけられていた。非公式に反シリア政権に支援していたとすることが
公になり、世論の支持を得られなくなる可能性が高くなった。
読者はこの件を記憶に留めていただきたい。
後のDer Spiegel /BNDのレポートで再度用いる。
尚、フランスはサリンの解毒剤水酸化ナトリウムなどを反政府側に供給・・・
インディペンデント紙。

2013年9月9日 連合王国政府が、2004年7月2010年から5月までの
6年間シリアに輸出許可。

2013年9月6日The Guardian :G20Gでキャメロン首相がシリアから
持ち帰った衣服と土壌サンプルからサリンが検出と新たな
証拠として提出。それに対してロシア・プーチン大統領は、
それが、アサド政権が使用した証拠にはならないと反論し却下。

女王陛下のキャメロン首相は、ジェームス・ボンドのように
不屈の精神でプーチン大統領に粘ります。が・・・

プーチン大統領の一突き
ブリテンは小さな島だ。チェルシーに生まれたロシア人以外
誰も彼らに注意を払わない
とコメントしてキャメロン首相を黙らせた。・・・
恐ロシアのクマの爪

(この原因は、キャメロン首相にボンドガールのような任務上
のパートナーがいなかったからだろうね)

(今回のロシアからの指摘に対して、女王陛下の秘密情報部員・
ジェームス・ボンドはしばしば敵に捕らわれるヘマをするように
(現実なら死んでいる)現実のSISでも人間味ある人々がいる職場だから、
たまにヘマはたまにはある。(具体的には書かない)
そこがSISの魅力だ。ヘマをした007が“ジェームス・ボンドは二度死ぬ”
のように最終的に任務完了させるように、現実のSISも窮地からの脱出と
任務遂行に問題ないだろう。自分の失敗は自分でフォローするのが
女王陛下のSISだからね。
だが、今回はロシアの隠し玉に気を付けないと痛い目に合うと思うよ。
このユーモアはSISの中のでも微笑んでいただけるだろう)
Casino Royale:この歌詞の内容が好きだよ。   
http://www.youtube.com/watch?v=A1AMUmkj-ck

アメリカ合衆国・オバマ政権のシリアでの化学兵器使用に
関する対応について述べる前に、我々は、サウジアラビア王国周辺国の
動向を見ておく必要がある。(フランス共和国の動向は紙面上省略する)